第二回目 仙頭酒造場・有光酒造訪問記

仙頭酒造場 訪問記

先週までの暖かさに比べ 訪問当日は完全に冬日となりました。こんな日が酒造りには適していると思います。土佐しらぎく(仙頭酒造場)さんは安芸郡芸西村和食にあります。私たちはくろしお鉄道なはり線で和食駅に降り立ちました。

仙頭酒造場 訪問記
仙頭酒造場 訪問記

駅プラットホームから北側を眺めるとそこには屹然とした"志ら菊"の煙突が私たちを迎えてくれました。
仙頭酒造場 訪問記
第一回目 司牡丹酒造訪問記

蔵では製造責任者の仙頭竜太さんに出迎えていただきました。
初めての訪問で私は少し緊張していたのですが、仙頭さんの方から積極的に話始めていただいて緊張はすぐにときほぐれました。
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現状の工場設備などを考慮しあえて機械化せずあくまでも手作業を主体の造りでしらぎくの特徴を追求していらっしゃるとのこと。ただ精米についてはいずれ自分の手でできる方向に持っていきたいとも伺いました。

仙頭酒造場 訪問記
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仕込みから瓶詰めまでを一つの単位として、その単位を重複して製造することはせず一単位が終わって次の単位へ進むという流れを貫いているそうです。

仙頭酒造場 訪問記
仙頭酒造場 訪問記
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山田錦は産地が異なっても米の特徴に大きな変化は見られないので異なる産地の米を融通しながら作って行けますが、例えば、吟の夢は高知でしか作っていないうえに、産地によって個性があります。
そういう意味では融通することがむつかしいと思います。そのため極力、米、麹、酵母、仕込水にストレスを与えずそれぞれの特徴を個性を生かした造りをクオリティを下げずに造ることを目指していらっしゃいました。

仙頭酒造場 訪問記
仙頭酒造場 訪問記

また高知のような温暖なところでは例えば酵母を例にとると9号熊本酵母は暖かいところの酵母としてゆっくり目の火入れでかまわないが、7号長野酵母は冷涼地の酵母ゆえ、高知で使用するには早めの火入れが望まれます。したがって製造のスケジュールも一つの単位を終わらせてから次に進むようにしないと、酵母や米の個性をストレスなく発揮させることはできないと考えているとのこと。

仙頭酒造場 訪問記
仙頭酒造場 訪問記

つまり米の産地、生産年度によって、出来合いは変化しているのが当然でかまわないといえます。もちろんクオリティは保ったままでなければならないです。ワインでいう原産地呼称に近い考え方と思いました。

目指す造りとは、飲み易さ、無理なく飲める酒造り。淡麗辛口を求めるのではなく、米の表情が出るような造りを追求しているそうです。
原則、割水などせずに原酒での製品を目指していて、低アルコール度でも原酒で飲み易い無理なく飲める酒造りが理想とされている。アルコール度が低いと甘くなってしまわないですかと質問をしてみたのですが、それはバランスだとのお返事。

仙頭酒造場 訪問記
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目指す方向性をはっきりと定めて、それに向けて日々研鑽しているのが、言葉の中からにじみ出てきていて大変好感の持てる頼もしい青年に思えました。これからの造りがますます楽しみです。注目していかなければならないと思っています。

仙頭酒造場 訪問記
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最後に利酒をさせてもらいました。3種類それぞれ特徴のある土佐酒。
左から、『特別純米酒 斬辛』、『純米吟醸山田錦』、『氷温貯蔵 純米大吟醸』の3種である。

仙頭酒造場 訪問記
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土佐しらぎくさん、有難うございました。仙頭さんに次の訪問蔵 安芸虎さんまで送ってもらいました。

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有光酒造 訪問記

有光社長は機械屋でもあります。

有光酒造 訪問記
有光酒造 訪問記

当日はポンプ修理もしていて、私たちがアポより少し早めに伺ってしまったのでまずは試飲からということで7種類の試飲から訪問が始まりました。

有光酒造 訪問記
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安芸虎らしさがわかりやすいのは『山田錦60%純米酒』だと思います。
伊太郎は先々代のお名前で、代々継承していたらしく先代の時から名乗らなくなったとのことでした。20年ほど前に伊太郎のブランドが誕生した懐かしい話も出て、多いに盛り上がりました。ポンプ修理も一段落して、蔵を案内していただきました。

ちょうど洗米作業が始まる前に、杜氏の尾木さんにお話を伺いすることが出来ました。なんという絶妙のタイミング、いいことがありそうな予感がしました。

有光酒造 訪問記

造りは味へのこだわり、深みのある味わい、酸もあって、バランスの良いお酒。
決して淡麗辛口ではない。食事とのバランスを大切にしたい。食事もお酒も両方楽しめるような造りを狙っているとのことでした。

有光酒造 訪問記
有光酒造 訪問記

特に推薦していただけるのは?と質問してみました。
造りでもうまくいっている『山田錦80%純米』に注目しているそうです。
山田錦だからとも考えているが、麹もしっかりとしたものが出来、アルコールもできます。
80%精米だが味わいもあって重くもなく、バランスもよく意外と軽やかに仕上がって、普通にスムーズに飲める酒質に出来上がっています。抜栓してからも丈夫でちょっと面白い存在である。これこそ食事にもお酒も両方楽しむことができます。

有光酒造 訪問記
有光酒造 訪問記

また 全体の方向性としては活性炭は使用せず、無濾過を標準として澱引きだけで終わらせるとしているそうです。

洗米の作業を目の当たりに見せてもらいました。この作業はめったに見学できない。
「5・4・3・2・1」の合図で洗米開始。当日は吟の夢で19分の浸漬とのこと。秋口は気温も高いのでこの時間は秒単位で行われるということでした。水分含有量が一定になるような考慮なのだと思います。

有光酒造 訪問記
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有光酒造 訪問記
有光酒造 訪問記
有光酒造 訪問記
有光酒造 訪問記

室(むろ)にも案内してもらいました。ここでは私は全く知らなかったのですが室での徹夜の麹の切り返しは特にせず、アミノ酸が特にのってくるといわれる35~39℃を気にせず夜10時に寝かせてからよく朝までそのままにしている。安定した麹が出来るということでした。きっと新しい考え方だと思います。

有光酒造 訪問記
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ふね絞りは48時間もかかるそうです。当日は2回目のしぼりに入っているところでした。機械絞りよりも手間暇がかかるそうですが、ワイルドな絞りとは井戸さんの言葉。

有光酒造 訪問記
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有光酒造 訪問記
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あっという間の訪問が終わりました。

有光酒造 訪問記

ああ何という素晴らしい酒蔵訪問であったことでしょうか。これだから土佐酒はうまいのだと思います。皆さまに自信を持ってお届けします!

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